Vol.1 福津宣人 × 居間 theater
福津宣人個展”光あるところ”最終日に描かれる一日限りの作品。
重さで、熱で、思いで、彼女は彼女の痕跡を描く。
抽象的模様を用いて、具象的図像を浮かび上がらせる。
美術家 福津宣人氏の手法の上に居間 theaterのパフォーマンスを重ね合わせた試み。
上演では、彼の繊細で緻密な絵画のように、床に無数の花型のスパンコールが格子状に並べられた。
整然と並ぶ花型は、一見すると床に書かれた線画のようだが、
ダンサーの山崎が現れるとその空間は少しずつ崩れさる。
彼女の足が描く軌跡によって絵画だった花型たちは分散し、もとの個体へと戻る。
同時に、それらはまた新たな図柄へと変容していく。
美術家 福津宣人氏の手法の上に居間 theaterのパフォーマンスを重ね合わせた試み。
上演では、彼の繊細で緻密な絵画のように、床に無数の花型のスパンコールが格子状に並べられた。
整然と並ぶ花型は、一見すると床に書かれた線画のようだが、
ダンサーの山崎が現れるとその空間は少しずつ崩れさる。
彼女の足が描く軌跡によって絵画だった花型たちは分散し、もとの個体へと戻る。
同時に、それらはまた新たな図柄へと変容していく。
風が吹く。細かい砂を伴いながら。そこに風が吹いたことを、砂の描く模様が教えてくれる。
鳥が飛ぶ。風に乗りながら。そこに空間が広がる事を、そこにある大海原のその姿を教えてくれる。
たった一羽の鳥は見えないはずのその距離をたどる糸の結び目となる。
波がぶつかる。何万キロも互いに出会っては別れて。その都度削られ足され、
築き上げたそのフォルムが、目の前で儚くも崩れてしまう存在である事、
それこそがその景色の美しさの一端を担っている事を気付かせてくれる。
いつも見る景色は、知らない傷跡の地層。世界は傷跡でその個性を主張する。
その瞬間の一つの出会いの為に、延々と綴られた糸のほつれを、私達は見続ている。
目の前で踊るその姿も、その様を見つめる自分自身がその場所にいた事も、
何時の間にかかすかな香りが漂う様に、その場所に刻まれる。
佇もうとも激しく身体を揺さぶろうとも、その場所にあった時間の長さだけ、
その思いの強さだけ同じように、静かに激しく傷跡の模様を描いていくのだ。
- 福津宣人
2013年4月29日(月・祝)19:30 〜
会場:HAGISO
振付:稲継美保
出演:山崎朋
美術:福津宣人
照明:明石伶子
記録写真:聞谷洋子
記録映像:みかなぎともこ
制作:宮武亜季 制作補佐:東彩織
協力:STスポット、川原茜、マームとジプシー、牧野まりか