だれが残すのか、なにを残すのか、どう残すのか:Page①ジャイアント食堂のスタート東:ジャイアント食堂報告会、1回目のトークを始めたいと思います。このトークでは、「誰が残すのか、何を残すのか、どう残すのか」というタイトルで、主にプロジェクトのアーカイブのメンバーでお話をします。ジャイアントルーム、八戸市美術館云々という話はもう一つのトークでできればと思うので、この時間は「ジャイアント食堂」や、こういったプロジェクトのアーカイブを巡って話ができればなと思います。
改めまして、私は「ジャイアント食堂」の企画・構成を担当した居間 theaterのメンバーの一人で、東彩織と申します。皆さんそれぞれ自己紹介をしていただけますか。 冨田:冨田了平と申します。今回のジャイアント食堂では記録映像の担当です。普段はアートプロジェクトや舞台の記録などを中心に写真もやり、映像もやり。映像制作をしたりしています。 加藤:カメラマンの加藤甫と申します。ジャイアント食堂では、写真を撮りました。普段はPARADISE AIRを始め、色んなところの写真の記録の撮影をしています。よろしくお願いします。 𡈽方:𡈽方大です。ジャイアント食堂ではインストーラーとして、会場の設営や絵をどうやって展示するかだったり、ワークショップもやっていました。同時に、タイムラプスの映像の撮影も少しやっていました。お願いします。 宮武:居間 theaterの宮武亜季と申します。私は居間 theaterではマネージメントやコーディネートの部分を担当しています。ジャイアント食堂では、出演者の方の受け入れや全体の進行などをやっていました。普段はPARADISE AIRのコーディネーターとしても働いています。よろしくお願いします。 東:というメンバーでお送りしたいと思うんですけれども、最初に、ジャイアント食堂というこの企画・プロジェクトについて簡単に説明したいと思います。 ジャイアント食堂は2022年6月25日に行った企画です。八戸市美術館の一番特徴的な場所が、真っ白なジャイアントルームという空間です。2021年の年末くらいに、八戸市美術館の方から何かイベントをやらないかというお話をいただき、コロナの関係で6月の開催になりました。 八戸市美術館がオープンしたのが2021年の11月です。コロナの影響で展示も入場制限がされてしまったり、大きなイベントがなかなか打てずにいた状況の中でお話をいただいて。何ができるかなぁと、居間 theaterで考えました。 とにかくジャイアントルームがまだ未知な存在というところがありまして。吹き抜けていて気持ちのいい空間だなとメンバー皆で感じたので、ズドンと空間を広く使って、とにかく色んな人が来てよくて、かつ、ジャイアントルームの使い方・遊び方みたいなことを試せないかと考え、スタートしました。 ジャイアントルームの面白いところは、入口から半分くらいの空間が飲食をしてOKとなっているんですね。Wi-Fiも飛んでいて、普段から使っていいと。そういったことから、その日限りの大きい食堂みたいな空間をつくって、街の人だったり、美術館に来たことのない人たちにも気軽に足を運んでもらえないかなと考えました。 当日は、朝8時から夜21時まで13時間オープンしました。黄色いパンフレットにフロアマップが書いてあり、何が起こるか、何があるかが分かります。とにかく色んなことが1日中、起こり続けると。 八戸市美術館の面白いところは、『「ひと」が活動する空間を大きく確保することで「もの」や「こと」を生み出す新しいかたちの美術館を目指して作られました』(八戸市美術館HPより)というコンセプトです。いわゆる美術的な彫刻作品や絵画作品といった物体的なものだけではなく、活動やプロジェクトみたいなことも含めて、この美術館でやっていきますよというメッセージが、美術館のホームページに書かれています。そのコンセプトをベースにして、「じゃあ、とにかくジャイアントルームで『こと』を起こし続けてみよう」というのが、ジャイアント食堂の一つの大きな目的でした。 もちろん、ジャイアントルームの使い方もまだ定まっていないし、これからルール的にも変わっていくだろうということは考えつつ、ダイナミックに使えるのもなかなか無いありがたい機会をいただいたので、こういうことを考えてみました。 東:今日のトークは、「誰がどう何を残すのか」というテーマがありまして。それは今言った、「もの」と「こと」みたいな話に繋がるかと思います。美術館が「こと」を積極的に扱っていきたいという時に、「こと」というのは、いわゆる物体的な「もの」としてはそのままの形として残すことができない。けれども、それ自体を何かしらの形にして、それを誰かに見せたり渡したり、かつ、それをもう一度繰り返し使っていけたりするのだろうか。できることならば、この「こと」を、再演・再現かは分かりませんが、何かもう一度、二度やっていけるような形を模索したい。そういうことがジャイアント食堂を行う上での裏テーマとしてありました。
今回の報告会に向けて、それぞれ映像を編集してもらい、写真を印刷してもらい、私は1日の出来事をテキストに書き出す作業をしました。これを皆で、ああだこうだ言いながら、じゃあ実際どういう形が可能なんだろうとか、「こと」を扱って残していく時に何がハードルになったりするんだろう、といった話を今日はできればなと思います。 |